これまでの私たち、おひなさま 2

2016年8月31日水曜日

家族のはなし

収めどころのない、大きなおひなさまを母から贈られ途方に暮れた私たち。

せっかくのおひなさまにふさわしい場所も見つけられない。
そうは言ってもこれがあると生活できない。

その日は向けどころのない怒りや情けなさややるせなさで、泣きながらおひなさまを片付けました。

そして2人で悩んだ末、母には申し訳無いけれど、旦那さんの実家に置かせてもらうしかないだろうと考えました。

義父や義母に相談すると、
「うちはもちろん構わないけど、それじゃお母さん納得出来ないんじゃないかい?
せめて1度は無理矢理でも部屋に飾ってお祝いして、お母さんにこっちに置いて良いか気持ちを聞いてみなさい。」
と言ってくれました。

義父や義母が、母の気持ちも私たちの状況も理解してそう言ってくれたことに本当に救われて、とても気持ちが楽になりました。

そして、母を我が家に招いて少し早めの桃の節句のお祝いをしました。

その日は、普段食卓にしているテーブルの上におひなさまを並べて盛大に飾りました。
そして母と娘の写真を撮って楽しく過ごしました。

見ての通りこの飾りを置いた状態では生活ができないこと、大きな箱のしまい場所もないことを理解してもらいました。
そして、旦那さんの実家に置かせてもらうことを許してもらいました。

3月、旦那さんの実家に母と妹も呼んで、みんなで改めて初節句のお祝いをしました。
玄関に立派なおひなさまを飾り、ようやくふさわしい場所に飾ることができたと、気持ちがさらに楽になりました。
そんな心持ちで改めておひなさまを見ると、とても素敵なお顔のお人形に見えてきます。

思えば、こんな無茶な贈り物が無ければこんなに悩むこともなかったのですが、こんな風にわざわざみんなで初節句のお祝いをして楽しく過ごすこともなかったな、と思いました。

そして、せめてこのおひなさまを飾ることができるような部屋に移りたいな、と思いました。

こうして、それから2か月後の都営住宅募集で当選したのでした。

今回の教訓:外からもたらされた困り事が、現状変更へのモチベーションになる事もある